クライアントにとって1番辛い監査法人からの宣告

クライアントにとって、監査法人から言われることで一番ショッキングなことってなんでしょう?

不適正意見を表明されることでしょうか?

それとも、監査意見不表明の旨を言われることでしょうか?

それは、上記2つのどちらでもありません。

 

クライアントにとって一番きついのは「継続企業前提に関する注記」の記載を言い渡されることです。

ちなみに、上記の不適正意見というものはルール上は不適正意見を表明することは可能ですが、実際に不適正意見を世間に公表することなんてありえません。

企業にとって、あえて自社の経理や財務の会計処理が不適切だったということを世間に公表するメリットなんかないからです。

なので、「不適正意見」というのはルール上は存在しますがそれを使うことは実務上ありえないのです。

そもそも、クライアント企業の会計処理に重大な粉飾や間違いがあった場合はまずは監査法人側はそれを修正するように求めるからです。

その指摘をちゃんと受け入れて正しい会計処理に修正すれば、ちゃんと適正意見を出すのでいきなり何も言わずに我々が不適正意見を表明するなんてことはないのです。

しかし、まれに粉飾等を指摘してクライアント側がそれに従わない場合、つまり本来あるべき正しい数字に修正しない場合は監査法人側は監査意見を出しません。

この場合、クライアントが監査法人を変更するか、もしくは監査法人側からクライアントとの契約を解除して意見の表明を回避することになります。

このケースで有名な実例としては、オリンパスの粉飾事件ですね。

これはあずさ監査法人が担当していたのですが、あずさ側はオリンパスの粉飾に関して指摘したところ、オリンパス側はその修正を認めずに新日本監査法人に監査契約を変更した経緯がありましたね。

たぶん、オリンパス側はあずさに指摘された際に「何を言ってるんだ!そんなこというならオマエのところにもう監査なんか頼まん!」的な感じになって監査法人を変更したのでしょうね。

このように、なんらかの不都合があって意見不表明になる場合は事前にクライアントと監査法人側で事前に大人の話し合い(?)が行われているのでいきなり「言われてショック!」なんてことになることもほとんどないです。

さて、話を戻して、「継続企業の前提に関する注記」とはなんでしょうか?

USCPAの勉強をしている方は日本語でこの用語をあまり学ぶことがないかもしれませんね。

USCPAの試験では、「Going Concern」という言い方でこれに関する問題が出題されることもあります(GC注記とよく言われます)。

ようは、会社が財務状況的に危ない状態にある、もっと言えば倒産する可能性が高いという言い方もできます。

試験勉強しているときにも学習したことがありますけど、このGC注記が監査報告書に記載されても適正意見に影響を及ぼすことはありません。

ただ、クライアントにとっては自分の企業が危ないということを公表しなければいけないことになりますから、これを監査法人側から記載する必要がある旨を言われた時は結構ショックだと思います、というか揉めたりすることもあります(汗)

中小企業のような財務基盤が弱い会社だと結構このGC注記がついたりすることが多いんですけど、大企業で最近一番話題になったのはシャープですね。

最近では人件費の削減等の努力をして財務状況を改善させてきたおかげか、2015年3月期の中間決算ではこのGC注記は記載されなくなりましたが、2012年頃にこのGC注記があの世界的な企業であるシャープについたと知った時は結構ニュースになった気がします。

ここもあずさ監査法人が監査をしているのですが、想像するにこのGC注記をつけるかつけないかでは相当話し合いがされたのではないでしょうか。

現に、シャープは一時期は本当に背水の陣で銀行からの借り入れができなくなって倒産してしまうんじゃないかというギリギリの線まで行ったという話も聞きますから今の状況はかなり良くなった方ではないんじゃないでしょうか。

自分もさすがにシャープにGC注記がついたと知った時は驚きました。

中堅監査法人時代は、小規模なクライアント先が多かったのでGC注記を抱えている企業をクライアントとして担当することも結構多かったのですが、やはりそういうところは色々と問題を抱えていますね。

まあ、GC注記がついたまま5年間ぐらい存続している企業も結構あるので一概に危ないとは言えないですけど、クライアントからしてみれば「GC注記を記載するのだけは勘弁してくださいよ~」という感じなのは間違いないですね。

Big4の場合は大手クライアントが多いのでGC注記について議論することはあまりないかもしれませんが、中堅監査法人に入った場合はそういう修羅場的な場面もあるということを多少は覚悟しましょう。

ある意味、貴重な経験ですからね。

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