2011年の夏。

俺はUSCPAの最後の科目、REGに合格した。

「うおおお~~!」

朝起きてHotmailを開いて、メールの添付ファイルを見て全科目に合格したことを知った時は今までにない達成感を味わった。

「こ、このアホな俺がUSCPAに合格、、!」

一気に安堵感が押し寄せた。

しかし、その数日後にはこれから始める転職活動に対する不安感が俺を一気に押しつぶした。

「まだ、前提条件をクリアしただけ、、」

しかも、当時の自分のスペックは散々なものだった。

・低学歴
・会計とは全く関係ない企業のほぼ単純作業の派遣社員
・30代に突入したばかり

USCPA以外で唯一武器になるのは、留学経験で培った英語力だけ。

これで一発逆転、憧れの監査法人に採用してもらえるのか?

しかも、当時は大手監査法人がそろって大量の希望退職者や強制リストラを行った直後で市場も冷え切っている最中。

明らかに不利、、

しかし、動かなければこの派遣生活からは抜け出せないので転職エージェントに登録。

会計等の専門職のみに対応しているエージェントなので、ここ1つに任せた。

面談して、早々に案件を紹介された。

5社くらいあった。

ただ、やはり必須条件が監査経験者ということなのでとりあえず紹介された感じだ。

担当者も、「とりあえず、うちは書類選考には強いですし推薦文も強力なのを書きますから応募するだけしてみましょう」と。

内訳は、1社が大手監査法人で4社が中堅監査法人。

「せめて書類選考でも突破できればな~」

しかし、そんな願いも虚しく担当者からは次々と書類選考落選のメールが。

「うう、俺のスペックじゃ~、、、」

人生に逆転はないのか?くそっ!

しかし、1社だけ書類選考通過の連絡が!

中堅監査法人で、英語のできるUSCPAを早めに採用したいとのこと!

「監査経験必須だったはずなのに、応募してみるもんだな~」

しかし、チャンスはその1社だけ!

他は全滅、その1社で落ちたら派遣生活は当分続く、、まずい。

しかも監査経験がある方がいいに決まってるから、自分はとりあえず面接に呼ばれただけな感じがする。

でも、すがるしかない、、これに!

そして、面接日の設定の調整等はエージェントの担当者がやってくれるので、自分は連絡を待つ。

普段の仕事も手につかん。。

しかもよく考えたら、在職中の転職活動なんぞ初めて。

ふと考えた。

「月~金まで仕事してるのに、いつ面接できるんだ?」

土日に面接してくれるなんて、、、そんなお優しい会社はないっすよね。。

ましてや、中堅監査法人のパートナーなんて、普段忙しいから面接の時間をとるのも大変なず。

となると、こっちからの日程の選択権なんてほとんどないはずだ。

そう思いながら面接に行ける手段を冷静に考えてみた。

① 夜に面接を設定してもらう
② 面接日が確定したら空気を読まずに有給をとる
③ 仕事をこっそり抜け出して面接を受けに行く(近場限定)
④ 面接日に仮病を使って仕事を休む

こんなとこだろう、在職中の転職活動というのは。

そして、冷静にこんなくだらないことを分析しているうちにエージェントの担当者から連絡がきた。

担当者「2日後の夜7時からなら可能だそうです。」

俺「はい!大丈夫です!」

ありがたい。二つ返事だ。

定時で上がればぎりで間に合う時間だ!

ある程度志望動機やら想定される質問を準備した。

そして面接当日。

普通に朝は出勤。

はっきり言って、夜の面接を控えているので仕事なんかどうでもよかった。

仕事中、ずっと面接のことばかり考えていた。

そして定時になった。

いつものようにどこからともなく現れる上司。

上司「かずにいさん~、今日1時間だけ残業でき、、」

俺「あ、無理です。」

即効会社を出て電車に乗った。

震えが止まらん。

そして面接する監査法人の最寄り駅についた。

すぐにトイレに駆け込んだ。

え?なんでって?

髭を剃るためだ(笑)

俺はヒゲが濃いのだ。

朝、しっかりと髭を剃っても、夕方ぐらいになるとしっかりと目立つようにヒゲが復活するのだ。

「ヒゲで面接はまずい!」

そう思って、当日は髭剃りとシェービングクリームを持参していた。

トイレでひと目もはばからず髭を急いで剃っていた。

恥ずかしかった。

でも、「え~い!ヒゲを綺麗にして内定とれるんなら安いもんじゃい!」

そんなことを思いながらさっぱりした。

そして、10分前に監査法人の事務所に着いた。

すでに俺は疲れていた。

緊張しながら仕事して、その後ダッシュで電車に乗って、ヒゲ剃って、業務後の面接はキツイなと、面接始まる前から実感した。

しか~し!

今ここにチャンスがある!

やるしない!

そして1次面接!

パートナー2人と自分1人での面接。

中堅監査法人の場合、規模が小さいので特に人事部とかはないところが多いので、基本は現場のパートナーが時間を作って面接するそうです。

俺は、かつてないほど緊張していた。

そして、事前準備した内容もほとんど忘れてしまった。

面接では奇抜な質問はなく、至って普通の質問だった。

ただ、一人の面接官はちょっと辛口で、もう一人は優しい感じでアメとムチの面接という感じだ。

そして、はっきり言って、自分が何をしゃべったか、全く覚えていない!

全然ちゃんと会話してない!

しどろもどろになって、頭が真っ白だったことしか覚えていない。

そして面接が終わった。

そして事務所を出て、俺は思った。

「終わった、、、」

意気消沈ぶりが半端なかった。

手応えが全くなく、力なく家に帰った。

「うう、チャンスをフイにしてしまった。。」

そう思いながら、翌日に出勤していつもどおり仕事をやる気なくこなしていた。

そして家に帰るとエージェントの担当者から連絡が。

1次面接通過!!

「えっ?マジ??」

あれでよく通過したな。

急にやる気がみなぎってきた。

一体どういう判断で自分を通過させたのだろう。

1次面接は形式だけだったのかな。

でも、とにかく次は最終面接!

チャンスは続いた!

生き残った!生き残った、、、

でも、次の面接も業務後に夜やるのはきついな。。。

そう思いながら、また担当者からの面接の日程の連絡を待つ。

最終は英語面接らしい。

そして、2日後に担当者から電話。

朝10時だった。この日は仕事は遅番で13時出勤。

担当者「最終面接ですが、今日の16時からとかって無理ですかね?」

俺「え?今日これからですか?、、、大丈夫です!」

もう選択の余地はない。

最後だ。

とにかく、他の応募者を出し抜きたいのですぐに対応する。

すべてを投げ打ってでも面接に行く!

そしてすぐに第4の手法を使うことに決めました。

ここで使わずしていつ使う!

会社に電話。

「体調が悪いのでお休みします」

よし、もう後で何言われてもいい。

いざ再度面接地へ!

普通、監査法人で英語面接は稀だそうだがここは英語のできる人材がすぐにでも欲しいそうだ。

もう、質問の準備とかはしなかった。

付け焼刃だと思った。

英語面接だから、どうせ内容はどうでもいいような気がした。

英語がそれなりに話せればいいだろ。

そして、もちろんガチガチに緊張しながら面接地についた。

面接は英語の流暢なパートナーと帰国子女のスタッフ。

どちらも日本人だ。

話す内容は至って普通だった。

エクセルは大丈夫かとか、監査で大事なことはなんだと思うかとか。

結婚する予定はあるかとか、ジョークも交えながらの英語面接。

あまり手応えは感じなかったけど、1次面接よりはしどろもどろにはなっていなかった。

そして30分ほどで面接終了。

やりきった。

これでダメなら税理士法人でも受けてみようとか考えながら家に帰った。

そして2日間待った。

そして担当者から電話がかかってきた。

「きた!」

担当者「面接の結果ですが、、内定ということになりました」

 

おおおおおおおおおおおおおお~~~~~!!!

 

抜けた!

なんたる僥倖!

脱出!

この派遣生活から!

これは夢じゃないかしら。

本当にやった!

担当者「オファーの受諾は1週間以内に、、」

俺「今すぐに受諾します!」

無事終わった。。

監査法人、、

逆転劇!

勝ち取った!

ボロボロの俺が這い上がれる、、

入社はキリよく年明けからに。

年収は1.5倍!

大幅アップ!

そりゃそうだ。今は派遣社員だもん。

そう思いながら、戦いが終わった。

でも、濃かったけど何げに短い転職活動だった。

転職エージェントに登録してから内定まで2週間。

監査法人の採用はスピーディーだな。

派遣社員として働いていた企業は当然退職。

そして2012年1月、憧れの監査法人の扉を開けたのだった。

※過去の記憶ですが98%は間違いない記憶です。